レポート
2024.08.22

信州ウナギ調査隊⑥漁港の競りを見学:天然うなぎに驚きの値付け&養鰻業の工夫

朝日が昇ってすぐ、浜名湖の雄踏漁港はすでに活気に満ちていました。信州ウナギ調査隊の活動最終日3日目、普段見ることのできない漁港の朝の風景です。新鮮な魚が私たちの食卓に届くまでの過程を学ぶ特別な一日のスタートです。

競りの熱気に包まれて

雄踏漁港に到着すると、そこには想像以上の活気が広がっていました。漁師さんたちが次々と水揚げする新鮮な魚介類。その中には、なんと天然のウナギの姿も。「すごい!本物のウナギだ!」と児童たちは興奮気味です。競りが始まると、独特の掛け声が飛び交います。3.8kgのウナギ数匹が4万円で落札されたことを知ると児童たちからは「すごい高い値段がついた」と驚きの声が上がりました。競りの熱気と魚の価値が決まっていく瞬間を目の当たりにして、子どもたちは食べ物の大切さを実感したようです。

ウナギの卸売業者が担う品質管理の要

ウナギが漁港や養鰻場から食卓に届くまでには、実は多くの工程があります。その中で重要な役割を果たしているのが卸売業者です。

「ウナギのストレスを減らし、おいしくするため、地下水で2~3日シャワーをしています」と、ウナギの卸売業を営む海老仙の加茂社長は説明します。養殖で育てられたウナギは、すぐに出荷されるわけではありません。ストレスを軽減し、より美味しくするための工夫が施されているのです。

ここでは、特別にウナギのつかみ取りもさせてもらいました。「めっちゃ、ぬるぬるしてる。」と子供たち。つかんでも、つかんでも、ウナギはぬるっとすり抜けていきます。「ウナギは普段は、そんなにぬるぬるしてないんですよ」と海老仙の加茂社長は説明します。敵から逃げたり、岩に体をぶつけるときにけがをしないようにウナギ自身が必要な時にぬるぬるしたものを出します。

子どもたちは、かば焼きにするための、加工の様子も見学しました。ここでの丁寧な作業が、私たちが口にするウナギの味を左右しているといっても過言ではありません。職人技で素早くさばいていきます。

養鰻業が直面する課題と工夫

その後メンバーは、ウナギの養鰻場を見学。シラスウナギから短期間でおいしいウナギに育てる方法が確立されています。エサの種類やタイミング、養殖場の温度管理など、細かな点に気を配りながら育てられています。

「ハウス内は45℃近くあり、水温は約28℃に保たれています」と海老仙の加茂社長は説明します。早く成長させるためには、エサを多く与える必要があり、そのための環境管理が欠かせないのです。およそ半年ほどで出荷されます。

ウナギを育て、おいしく食卓に届けるまでには、多くの人々の努力と工夫が詰まっています。私たちが食べているウナギの背景にある、こうした取り組みを知ることで、ウナギをより一層おいしく、そして感謝の気持ちを持って味わうことができると感じた体験でした。

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