長野県の高校生たちが、日頃の探究活動の成果を一堂に会して発表する「長野県高校生探Qフェスティバル2024」が12月14日に開催されました。会場となった塩尻市の長野県総合教育センターには、46校から約350人の生徒が集まり、熱気あふれる発表や交流が繰り広げられました。高校生たちの真剣な眼差しと、独創的なアイデアが詰まった探究活動の数々に、来場者は驚きと感動の声を上げていました。
「長野県高校生探Qフェスティバル」は、県内の高校生が取り組んだ探究活動の成果を発表し、他校の取り組みを共有する場として開催されました。普通科高校や専門高校、理数科、SSHなど、さまざまな学校の生徒たちが一堂に会し、互いの研究成果を発表し合いました。
来場者からは「高校生たちの発想力と実行力に驚かされました」「地域の特色を生かした商品開発に感心しました」といった声が聞かれ、高校生たちの取り組みに対する高い評価が伺えました。
会場の講堂では、県内高校生による探究活動の発表が行われました。このうち、中野西高校の山田唯斗さんのグループは、海洋プラスチックごみの問題の取り組みました。「1年前から海ごみに関する探究を積み重ねてきました。実際に現地で見ると、海岸にはたくさんのごみが広がっていて、何か対策できるものはないかと考えながら活動してきました」と山田さんは語ります。
新潟で海ごみを拾ったところ、ほとんどが人が使ったごみで中には韓国語や中国語の商品のごみが見つかりました。ごみの発生源について、国内の川や市街地、海外から流れ着きやすい場所であることを推測したました。「国内のたくさん海岸でこうした問題が起きていと思うと、深刻に受け止める部分はあります」という山田さんの言葉に、問題の深刻さと取り組みの重要性が伝わってきました。
富士見高校3年の植松祥奈さんのチームは、は、地域の高齢化問題に着目し、放置竹林の整備と有害鳥獣対策に取り組んだ活動を発表しました。竹は繁殖力の高さから樹木の生育を妨げ、土砂災害を引き起こす可能性あること。また柿の木が高齢化によってとられなくなり、サルによる被害が問題とっていること地域の課題でした。
具体的な取り組みとして、植松さんは「放置竹林を整備したときに取れた竹でおもちゃとか飾りを作って販売をしたり、皆さんに実際に触ってもらったりイベントに参加したりしました」と説明しました。さらに、有害鳥獣対策として「地域の方の敷地内にある柿を取らせてもらって、猿より先に取ることで被害を防ぎました。」これをサル柿合戦プロジェクトと名付け、地域に密着した活動の様子を紹介しました。
3年間継続した活動をした結果、小中学校や保育園との交流に発展し、多世代の交流が実現しました。今後は、役場や企業との連携をより柔軟に対応できるようにしていきたいと意気込みます。
フェスティバルの目玉企画の一つ、「産業教育MIRAIフェア」では、専門高校や総合学科の生徒たちが、日頃の学習成果を活かして制作した商品の展示販売が行われました。
穂高商業高校は、米粉どらやきを販売。安曇野産コシヒカリを使ったもっちりとした食感が特徴。南安曇農業高校の生徒が育てた鶏の卵を使用。また焼き印のデザインは池田工高校の生徒が考え、3校が協力して開発した商品です。
赤穂高校は、独自のスパイスで調合した「赤穂CuRRYSPICE」を販売。
その他、上伊那農業高校の鹿肉製品や鹿角アクセサリー、南安曇農業高校のジャムやトマトケチャップ、中野立志館高校のおやき、小諸商業高校のソルガムを活用した商品、松商学園高校のオリジナルパンバラエティ豊かな商品が並びました。
フェスティバル開催の意義について、長野県教育委員会学びの改革支援課の中谷幸裕さんは次のように語りました。「さまざまな学校の探究活動が一堂に会することで、相互作用を通じて新たな学びが生まれることを期待しています」さらに中谷さんは、高校生たちの熱心な発表を高く評価し、「探究したことが将来につながり、地域のことを考えるきっかけになってほしい」と期待を寄せています。
今年で2回目となった長野県高校生探Qフェスティバルは、高校生たちの探究心を育み、地域と連携した学びを促進する貴重な機会となっています。今後も、こうした取り組みを通じて、長野県の高校教育がさらに発展していくことが期待されます。