「獲れたよ!」「わー!大きいね」 新緑に包まれた川辺に響く、子どもたちの歓声。
4月24日、飯田市の天竜川総合学習館「かわらんべ」で、体験講座「まごたろう虫をさがそう」が開催されました。
この日は幼児、園児、小学生とその保護者、あわせて50名ほどが参加。子どもたちが長靴で入れる程度の浅瀬に入り、網で水生生物をすくって観察を行いました。
「まごたろう虫」とはヘビトンボの幼虫のこと。天竜川に住む川虫の中では一番大きな種類で、キバのような鋭いあごで虫を捕まえて食べる肉食性の川虫です。
「川を外から見ただけではわかりませんが、網で採取すると驚くほどたくさんの生き物がいることがわかります。特にまごたろう虫は大きいので、見つけた時の達成感を感じてもらえると思いテーマにしました。また、まごたろう虫は水がキレイなところにしか生息しない指標生物でもあります。これをきっかけに、天竜川の水質や環境について興味を持ってもらえたらうれしいですね」と話してくれたのは、かわらんべの久保田憲昭さん。
高度成長期における経済発展の代償として水質汚濁が進んでしまった天竜川。しかし、近年の水質浄化の取り組みの結果、平成16年ころから徐々に水質の回復のきざしが現れてきたといいます。その象徴といえるのが川虫や魚などの生き物たち。
https://www.mlit.go.jp/river/shishin_guideline/suisituhantei/text.pdf (国土交通省より参照)
国土交通省のホームページにも掲載されているカワゲラ、ヘビトンボ(マゴタロウ虫)などきれいな水(水質階級Ⅰ)の指標生物たちが再び広範囲で姿を見せるようになったのです。
この日獲れたまごたろう虫はおよそ30匹。しっかり観察したあと、皆で川に逃して活動を終えました。
「肉食のまごたろう虫(ヘビトンボ)が安定して生息しているということは、水質が回復し、川の中の生態系がうまくいっていることの証です」と笑顔で話してくれた久保田さん。
諏訪湖に源を発し、伊那盆地、静岡県を経て海へと注ぐ天竜川。水生生物の採取を楽しみながら、身近な川の水環境や、川と生物たちのつながりについて思いを馳せるイベントとなりました。