信州ウナギ調査隊の2日目の午後の活動は静岡県の浜名湖で行われました。湖なのに海の生き物がいる?そんな不思議な世界を、子どもたちは全身で体験しました。シュノーケリングや磯学習を通じて、浜名湖の豊かな生態系と、そこに暮らす人々の営みを学びます。
磯学習の前に、まずは、浜名湖の漁業について学びます。浜名漁協弁天島遊船組合の間瀬泰成さんは、「浜名湖では、ウナギだけでなく、カニ、エビ、カキの養殖、ノリ、貝なども盛んに行われています」と教えてくれました。しかし、近年は環境の変化により、漁業にも影響が出ているそうです。例えば、かつて盛んだったアサリの潮干狩りが、2013年に初めて中止になったという話には、子どもたちも驚いた様子でした。原因の一つは、クロダイという魚による食害。温暖化の影響で、クロダイが一年中浜名湖に留まるようになり、アサリを食べてしまうのだそうです。「海や湖は自然環境の変化を受けにくく、一度変化したらすぐにはもとにも戻らない」という間瀬さんの言葉に、子どもたちは真剣な表情で耳を傾けていました。環境保護の大切さを、身をもって感じる機会となったようです。
磯学習は船に乗って浜名湖の無人島いかり瀬に向かいます。この日は、35℃を越える猛暑日でしたが、ほどよい潮風が吹く、まさに海日和。網とバケツを持って調査隊メンバーは生き物を探します。ハマグリやヤドカリ、カニ、クラゲを次々と発見。
暑すぎたせいか、水温も高く、魚は姿を見せてくれませんでした。それでも長野県内はない環境にこどもたちは目を輝かせていました。
いよいよシュノーケリングの時間です。水深が浅い部分はまるで温泉のように温かい水でしたが、時より冷たい水が流れてくると「気持ちいい。」と児童たち。
海で泳ぐのは初めてというメンバーもいましたが、ゴーグルをつけて、水中をのぞきながら、自由に泳ぎ回っていました。海なし県、信州から来た子どもたちにとって、この体験は特別なものだったに違いありません。
最後は2艘に分かれて、浜名湖を知ろうと乗船。浜名湖は、ウナギの養殖以外にもカキの養殖も盛んで、多くの人が漁業に係っています。
船がスピードアップすると潮風が心地よく皆笑顔に。
夕日もキレイで。海は広いな、大きいなと改めて感じました。信州ウナギ調査隊の子どもたちは、この日の体験を通じて、海と湖のつながり、そして人間の生活と自然環境の関係について、深く考えるきっかけを得たようでした。浜名湖の不思議な世界は、子どもたちの心に強く印象づけられたに違いありません。