レポート
2024.08.22

信州ウナギ調査隊④浜名湖ウナギ物語~不思議な旅路の秘密に迫る!

私たちの食卓に欠かせないウナギ。その生態は謎に包まれています。近年その数が激減し、絶滅が危惧されています。ウナギに詳しい静岡県水産・海洋技術研究所浜名湖分場の吉川昌之さんによる特別講義を受けた調査隊のメンバーたち。ウナギの一生から激減の理由、そして未来への課題まで、驚きの連続でした。

ウナギの驚くべき一生

「ウナギはどこで生まれると思う?」という吉川さんの質問に、子どもたちは首をかしげます。「川の中?」「海の底?」とさまざまな答えが飛び交いました。「実は、日本からずっと南の海、太平洋の真ん中あたりなんです」と吉川さん。マリアナ諸島の西で生まれたウナギの赤ちゃんは、黒潮という暖かい海流に乗って日本までやってくるのだそうです。「えー!そんな遠くから来るの?」と驚きの声が上がりました。シラスウナギと呼ばれる稚魚は、夜に川の河口に集まり、川をさかのぼり始めます。「重さはたった0.2グラムで、5匹で1円玉と同じ重さなんですよ」という説明に、子どもたちは「すごく小さい!」と目を丸くしていました。成長したウナギは、秋に雨が降って川に水が多くなった時に流れにのって川を下り、海に出て、たまごを生むために再びマリアナ諸島の西向かうと言われています。

養殖の秘密

養殖ウナギは、たまごからではなく、稚魚のシラスウナギをつかまえて、育てることで養殖しています。浜名湖で養殖が盛んになった理由は、シラスウナギがたくさん獲れたことや、養殖に必要な地下水やエサが豊富だったからです。「養殖では、早ければ半年で200グラムまで育てるんです」と吉川さん。自然界なら2年もかかる成長を大幅に短縮する技術です。そして小さなシラスウナギは1匹500円ほどで取引されるときいた児童は驚いた様子でした。

ウナギを守る取り組み

吉川さんは、ウナギが絶滅危惧種になっていることを説明しました。「日本人は、多いときには1年間に10万トンものウナギを食べていたんです。1匹200グラムだとすると、なんと5億匹にもなります」この話を聞いた子どもたちからは、「そんなにたくさん食べてたの?」「かわいそう…」という声が聞こえてきました。中には「もうウナギを食べちゃダメなの?」と心配そうな表情を浮かべる子もいました。吉川さんは「ウナギを食べてはいけないわけではありません。でも、今のペースで食べ続けると、将来ウナギがいなくなってしまう可能性があるんです」と説明しました。ウナギを守るための取り組みについて、吉川さんは川の環境整備や養殖技術の改善などを説明しました。「例えば、ダムに魚道という通路を作って、ウナギが川を上りやすくする工夫をしています」と説明しました。子どもたちからは「ウナギの国を作る」「自然のウナギは獲らないで、養殖ウナギだけを食べる」などのアイデアが出されました。

私たちにできること

最後に吉川さんは、「ひとりひとりができることを工夫することが大事」と締めくくりました。「例えば、川や海をきれいに保つことは、ウナギだけでなく、たくさんの生き物を守ることにつながります」と説明すると、子どもたちは真剣な表情で聞いていました。子どもたちは「川にゴミを捨てない」「エコバッグを使う」など、自分たちにできることを真剣に考え始めました。ある子は「ウナギのことをもっと勉強して、みんなに教えたい」と目を輝かせていました。「家族や友達にも今日学んだことを教えてあげてください。みんなで協力すれば、きっとウナギを守ることができますよ」という吉川さんの言葉に、子どもたちは大きくうなずいていました。講義を終えた子どもたちの感想は様々でした。「ウナギの赤ちゃんが海を旅するなんてすごい!」 「養殖の技術がこんなにすごいとは知らなかった。」 「ウナギを守るために、自分にもできることがあるんだって分かった。明日から頑張ろう」 「ウナギの一生を聞いて、生き物の命の大切さを感じた」 「将来は研究者になって、ウナギを守りたい!」

吉川さんの「浜名湖うなぎ物語」を通じて、子どもたちはウナギの不思議な生態と、それを取り巻く環境問題について深く学ぶことができました。この経験が、未来の海を守る小さな一歩となり、やがて大きな変化をもたらすことでしょう。

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