レポート
2024.08.22

信州ウナギ調査隊➂3つの顔をもつ浜名湖の不思議

海と日本プロジェクトin長野による小学生海洋学習プログラム「信州ウナギ調査隊」の活動2日目は、静岡県浜松市へ。静岡県西部に広がる浜名湖。湖なのに海の生き物がいる?淡水魚と海水魚が同じ場所で泳いでいる?そんな不思議な世界が、ここ浜名湖には広がっているのです。調査隊は、その秘密を探るべく浜名湖体験学習施設 ウォットへ。

湖?海?それとも川?3つの顔を持つ浜名湖

浜名湖には、800種類もの魚介類が生息していると言われていて、このうち水族館ウォットには、200種1000匹が展示されています。案内してくれたのは、飼育担当の工藤隆馬さん。「浜名湖は同じ湖と名の付く長野県の諏訪湖とは違った顔を持っているんです。」と話します。浜名湖は、湖でありながら海や川の特徴も併せ持つ「汽水湖」と呼ばれる珍しい湖です。もともとは淡水の湖でしたが、大きな地震によって海とつながってしまったのです。その結果、湖の水は淡水と海水が混ざり合った独特の環境になりました。地理上は湖。河川法では川。漁業法で海に分類されるのが浜名湖の特徴です。

大水槽の上からのぞく、浜名湖の縮図

水族館の裏側をめぐる見学ツアーは大水槽の上からのぞき込むところから始まりました。「ここの水、実は特別なんです」と案内してくれたのは、飼育担当の工藤隆馬さん。浜名湖と同じ環境を再現するため、海水と地下380mから汲み上げた地下水を混ぜているそうです。

予備槽で大興奮!ウナギタッチ体験

次に案内されたのは、普段は立ち入ることのできない水族館の予備槽です。ここでは、なんとウナギを直接触る体験ができました。「わあ、ヌルヌルする!」子どもたちの歓声が上がります。中には「ぶよぶよしてて意外とかわいい」という感想も。実際に触れることで、ウナギへの印象が大きく変わったようです。ウナギ以外にも、ウニやヤドカリなど、普段なかなか触れる機会のない生き物たちとの触れ合いも。子どもたちの目は好奇心で輝いていました。

路地池で学ぶ、ウナギの不思議

続いて訪れたのは路地池です。工藤さんは「昔は、こういった路地にある池でウナギを養殖していたんですよ」と説明してくれました。現在では、ハウス内での養殖が主流になっているそうです。さらに、ウナギの生態についても興味深い話を聞くことができました。「ウナギの寿命は約10年。天然のウナギは成長するのに約2年ほどかかるんです」という工藤さんの言葉に、子どもたちは驚きの声を上げていました。「えー、そんなに長生きなの?」「2年も成長するの?」という反応が飛び出します。

このツアーを通じて、浜名湖の特殊性と豊かさを肌で感じることができました。湖でありながら海とつながり、800種類もの魚介類が生息するこの環境は、まさに自然の不思議そのものです。しかし、この豊かな生態系も近年、環境の変化に直面しています。例えば、温暖化の影響でクロダイが年中浜名湖に留まるようになり、アサリへの食害が問題になっているそうです。工藤さんは「浜名湖の環境を守るのは、私たち一人一人の小さな行動なんです」と語ってくれました。この言葉に、子どもたちも真剣な表情で聞き入っていました。浜名湖体験学習施設ウォットでの体験は、単なる水族館見学を超えた、貴重な学びの機会となりました。

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