海なし県の信州の小学生たちが、豊かな海を未来につなげる冒険に出発。「信州ウナギ調査隊」と名付けられたこの取り組みは、日本財団の「海と日本プロジェクト」の一環として行われる学習プログラムです。2泊3日の旅で、子どもたちは川と海のつながりを学び、ウナギの不思議に迫ります。調査隊のメンバーはどんな驚きと発見を経験するのでしょうか?
長野県内各地から集まった23人の小学5,6年生のメンバーたち。海や生き物が大好きなメンバーの目は、期待と不安が入り混じっていました。海と日本プロジェクトin長野の推進リーダーで長野放送の松山航大アナウンサーが、元気よく挨拶します。「隊長と呼んでね」と笑顔で語りかける松山さんの言葉に、子どもたちの緊張もほぐれていきます。
続いては、児童たちの自己紹介です。海の好きなところやこの活動でやってみたいことを一人ずつ発表。「海の生き物を守りたい」「ウナギの秘密を知りたい」「海のごみをなくしたい」など、子どもたちの熱い想いが次々と飛び出します。中には「海に行ったことがないから、初めて海を見てみたい」という声も。海なし県ならではの素直な感想に、スタッフたちも温かな笑顔を見せます。
「海と日本プロジェクト」について、松山隊長が説明します。海に囲まれた日本は、その恵みを受けて暮らしています。しかし今、海に大きな変化が起きているのです。水温上昇や魚の減少など、様々な問題が発生しています。
「長野県は山に囲まれ海はありませんが、日本一長い川、千曲川や諏訪湖を源流とする天竜川で海とつながっているんだよ」と松山隊長。「川の水は、最終的にどこに行くと思う?」という問いかけに、「海!」と元気な声が返ってきます。「そう、私たちが使う水も、最終的には海に流れ着くんだ。だから、海を守るためには、川や湖を守ることも大切なんだよ」と松山隊長。子どもたちは真剣な表情で聞き入ります。
「長野県とウナギには、深いつながりがあるんです」と松山隊長。諏訪湖周辺には25店舗以上のウナギ専門店があり、岡谷市では年に1回、小学校の給食でウナギが出されるそうです。松山隊長は続けます。「実は、昔の諏訪湖や天竜川では、ウナギ漁がとても盛んでした。」
しかし、天然ニホンウナギの漁獲量は激減しているのが現状です。1970年以降大きく減少し、日本全体では2020年には過去最低の65トンに。最盛期の約50分の1まで落ち込んでいます。「このままだと、ウナギが食べられなくなるかもしれない」という言葉に、子どもたちは真剣な表情で耳を傾けます。
「なぜウナギが減ったのかな?」という問いかけに、子どもたちから様々な意見が出ます。「川が汚れたから?」「獲りすぎちゃったから?」「地球温暖化の影響?」。松山隊長は、「その疑問を今日から3日間かけてみんなで探っていこう」と投げかけました。
海なし県の子どもたちが、ウナギを通じて海との意外なつながりを発見し、環境保護の大切さを学ぶ。そんな真夏の冒険の幕が、上がりました。