海と日本プロジェクトは長野県だけでなく北は北海道、南は沖縄まで、全国規模で行われているプロジェクトです。海と日本プロジェクト全体で取り組む海洋ごみ対策の強化週間が「海ごみゼロウィーク」です。メイン会場となった福岡ではユニークなイベントが開催されました。
2024年6月1日、福岡市中洲で開催された「コスプレde海ごみゼロ大作戦」。日本財団と環境省が主催する春の海ごみゼロウィークのブーストイベントで、全国の活動を盛り上げるため、人気マンガやアニメのキャラクターに扮したコスプレイヤーら約400人が集結。街中のごみ拾いに汗を流しました。
海ごみ問題への関心を高めるユニークな試み
開会式では、日本財団の海野光行常務理事がジョジョの奇妙な冒険の空条承太郎のコスプレ姿で登場し、ステージ上でジョジョ立ちを披露。「海洋ごみの8割は陸から流れ出ています。私たち自身、心の中からごみが出ているのかも。一度ごみ拾いをすると二度とごみを捨てなくなると聞く。そんな人が増えれば、ごみ拾い自体がなくなる世の中になるはず」と呼びかけました。環境省の国定勇人政務官は「2050年には海のプラスチックごみが魚の量を上回ると言われている。このままでは取り返しのつかないことに。今年中に各国が協力してルールを作れば、危機を避けられる」と訴えました。福岡市の中村英一副市長は「福岡から海ごみゼロのうねりを世界に届けたい」と決意を述べました。参加者は「ごみを拾って、海を守るばい!」の掛け声とともに、いよいよ中洲の街に繰り出します。サザエさんやセーラームーン、鬼滅の刃の禰豆子など、バラエティに富んだキャラクターたちが、手分けしてごみを拾っていきました。
街のあちこちに散乱する身近なごみ
目につくのはやはりたばこの吸い殻。歩道の植え込みや車道との境目など、所構わず捨てられています。ペットボトルや空き缶、菓子袋といった生活ごみも多数。「こんなに落ちてるんだ…」。参加者からは驚きの声が漏れます。雨傘も意外と多く、40本ほど回収されました。「濡れた傘を持って帰るのは面倒だからポイ捨てする人が多いのかも」。ある参加者の指摘に、みなうなずきます。
コスプレイヤーの環境意識の高さに注目
SNSでの発信力が高く、撮影場所の美化にも熱心なコスプレイヤー。「ごみのないきれいな場所で撮影したい」「後輩に恥ずかしくない環境を残したい」。独自の視点からごみ問題に向き合ってきた彼らが、今回、力を合わせます。「地元・福岡でこんなイベントが開催されてうれしい」「普段はごみ拾いしてる自分を隠してたけど、堂々とアピールできた」「世界中のコスプレイヤーとつながれた気がする」。イベントを通じ、活動の輪が広がっていくことを実感したようです。
海ごみゼロへ。一人一人の意識と行動が世界を変える
90リットルのごみ袋19袋分。わずか数時間で集まった中洲のごみの量に、参加者は言葉を失います。しかし、ごみ拾いはゴールではありません。私たち一人一人が普段の生活を見つめ直し、ごみを出さない工夫を重ねていくことが何より大切。「使い捨て」の便利さに頼るのではなく、「繰り返し使う」サステナブルな暮らしへ。価値観を転換していく必要があるのです。海洋ごみ削減に向けた今回のイベント。若者の心に火をつけ、行動を変えるきっかけになったなら。そのうねりは、やがて世界中に広がっていくでしょう。