レポート
2020.08.22

海ごみゼロウイーク ひと足早くスタート

秋海ごみゼロウイーク日本財団の「CHANGE FOR THE BLUE」と環境省の「Plastics Smart(プラスチック・スマート)」キャンペーンの共同事業「海ごみゼロウィーク」 。去年は5月30日(ごみゼロの日)~6月8日(世界海洋デー)前後までの期間に設定されていましたが、今年は、新型コロナウイルスの影響で秋に期間をずらし開催されます。全国一斉清掃キャンペーンは、「秋の海ごみゼロウイーク」として、9月12日から19日(World Cleanup Day)にかけ日本全体が連帯し、海洋ごみ削減のためのアクションを一斉に行いますが、長野県ではひと足早く清掃活動がスタートしました。IMG_0472

8月22日に下諏訪町で開催された諏訪湖クリーン祭「諏訪湖クリーン大作戦」。今回は、下諏訪町諏訪湖浄化推進連絡協議会(以後、湖浄連)と海と日本プロジェクトin長野県実行委員会が合同で行う湖岸清掃イベントです。天竜川を通じて太平洋へとつながる源流である諏訪湖周辺のごみ拾い活動をすることで、海洋環境保全の機運を、上流県の信州から高めていこうという狙いです。諏訪湖畔の下諏訪町赤砂崎公園(別会場として博物館駐車場も)には、青木悟下諏訪町町長、秋山重二湖浄連会長、そして下諏訪町の町民のみなさんなどおよそ350人が集まりました。

実は諏訪湖クリーン祭は、例年だとブース出展や出店など家族で楽しめる内容盛りだくさんのイベントでしたが今年は新型コロナウイルスの影響で中止も検討されました。それでも、例年祭りに合わせて行われている「湖岸清掃だけでも実施したい」との運営側の思いから、諏訪湖クリーン大作戦と銘打ち、海と日本プロジェクトとの合同開催で実施の運びとなりました。

青木悟下諏訪町町長は「昨今全国的な問題となっているマイクロプラスチックが、今年の6月に諏訪湖底からも検出されました。諏訪湖から海に流れ着いたプラスチックごみが海流に乗って海外へ流れ着き、鳥や魚が食べてしまう事例もあります。湖岸のごみは諏訪湖だけの問題でなく、下流や海にも影響を及ぼす可能性があります。みなさんの地道な活動は、地球規模の大きな問題を抑制する効果的な活動となります。」とし、海の問題は、上流域の問題でもあることを町民に伝えました。

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また、海と日本プロジェクトin長野県実行委員会の高橋潤委員長は、海と日本プロジェクトが「海をキレイにしよう」という合言葉から、「CHANGE FOR THE BLUE」というプロジェクトを立ち上げ、海洋ごみ削減のモデル作りや情報発信に取り組んでいること、そして、「ゴミを捨てない、出さない、拾う。といった行動を通じ、海の未来を守っていきましょう」と呼びかけました。

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参加者は、ブルーのタオルを首に巻いて清掃活動。湖岸沿いを歩いて約1km先のみずべ公園まで目指します。海ごみゼロウィークでは、「海を思う気持ちの象徴として、青いアイテムを身に付けて活動しよう」と、全国で呼び掛けています。この日は、天気に恵まれ、空もまるで「オーシャンブルー!」

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小中学生の参加も目立ちました。湖畔沿いにある下諏訪南小学校では自由参加の形式で児童にイベント参加を呼び掛けたそうです。特に4年生は総合学習で諏訪湖の環境の変化を学んでいるということでまさにうってつけのアクションです。その他、児童クラブのメンバーなども参加していました。IMG_0498

長野県最大の湖である諏訪湖は、諏訪地方のシンボルとして古くから人々に親しまれ、地域の生活を支え、歴史と文化を育んできました。しかし、昭和30年代後半からの高度経済成長による産業の発展、都市化の進展に伴い、汚濁が進行し、富栄養化によるアオコの発生など、環境上のさまざまな影響が現れました。このため、県や周辺市町村では、「よみがえれ諏訪湖」をテーマにかつての諏訪湖が取り戻せるよう、下水道の整備、浄化槽の普及促進、工場・事業場排水の規制強化など各種対策を進めてきました。その結果、浄化が進みました。

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ごみ拾いの途中にある下諏訪町漕艇場を通ると岡谷南高校漕艇(そうてい)部のメンバーが準備をしていました。岡谷南は2017年の全国高校総体ボート競技の男子かじ付き4人スカルで優勝するボートの強豪。きれいな諏訪湖で練習できるからその実力が養われたにちがいありません。

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さて、参加者に話を聞くと意外な答えが「ごみが少ない!」「あまり拾うごみが見当たらない」。意外というのも失礼な話かもしれませんが、ここ諏訪湖周辺では、毎月1回の湖岸清掃を行うなど環境美化への意識が非常に高い地域です。イベントに限らずごみを見つけたら拾うというアクションがすでに根付いている地域だと感じました。

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それでも見つけたプラスチックごみ。こうしたごみは川を通じて海へと運ばれる可能性があります。海洋ごみはペットボトルやレジ袋といった日常的に使う物が多く含まれ、中でも半永久的に分解されることのないプラスチックごみが問題視されています。海洋ごみ問題が深刻化しており、毎年800万トンものプラスティックごみが流出し、2050年には海の魚より海洋ごみの量が多くなると言われています。その海洋ごみの7〜8割が内陸部から発生。雨が降った際などに路上のごみが川や水路に流出し、海へ至っています。 こうした状況を少しでも減らすために源流域に住むものの責任として、これからも海を守るためにまずは地元の環境からきれいにしていく必要があります。

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ごみが少ないと感じても集めてみるとかなりの量が集まりました。かつての美しい諏訪湖を取り戻すためにこれからも地域住民の美化活動は続きます。そして海と日本プロジェクトはこうした活動を応援していきます。

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