新潟県の上越市立水族博物館うみがたりで、11月12日に小学生を対象としたお仕事体験が開催されました。このプログラムは、水族館の飼育員さんの仕事を体験することで、海の大切さに気づくことを目的として実施しました。水族館では、レジャー施設という側面だけではなく、生き物の飼育・研究や、海洋環境の変化に対応するため様々な保全研究が行われていることを学ぶことで、海とともに生きること、環境を守ること、そして海から頂く恵みの大切さについて、多くの学びや気づきが詰まったプログラムです。
水族館を飼育員さん目線で見てみよう!
お仕事体験の現場「上越市立水族博物館うみがたり」は80年以上の歴史を持つ水族博物館。博物館という名称の通り希少種や生態系の研究など、飼育員による海洋生物の調査研究が進められているのも特長です。お仕事を教えてくれるのは、水族館の水質維持を主に担当する上野さん。参加したのは、小学校5年生1名、2年生2名、合計3名の子供たち。全員うみがたりへ来館経験がある海が大好きな子供たちです。まずは上野さんの案内で水族館を見学。何度も訪れているという子供たちにとっても初めて聞く話が多く、自然と質問が出てきます。人間と違い、海の生き物は元気が無くても自分で伝えることは出来ないので、生き物の健康状態を把握するために、水槽の汚れ方やえさの食べ残しをチェックすることも大切なポイント。普段とは違う目線の水族館の楽しみ方で、子供たちのまなざしも真剣さを帯びていきます。
飼育員さんの3つのお仕事!
水族館の見学後、上野さんに飼育員さんの3つの大きなお仕事を教えてもらいます。飼育員さんに大切なのは3つの「じ」 調餌(ちょうじ)、掃除(そうじ)、給仕(きゅうじ)。海の生き物とのコミュニケーションは餌の時間が多くを占め、餌の食べ方や食べた量、そして食べた後の便の様子など、細かく調べながら生き物の健康状態、そして性格を把握しているとのこと。生き物がしっかり食べてくれる餌を作り、まんべんなく餌を与え、水質を見ながら健康状態を見ていく。普段のルーティーンの中にも多くの役割があることを学び、生き物を飼育する責任を感じていきます。バックヤードでお仕事
学びの後は、いよいよ実践。水族館のバックヤードに入り、餌やりとお掃除を体験します。表側の水族館の雰囲気とは少し違った環境で、子供たちも少々緊張気味。バックヤードは生き物の命を繋ぐための場所でもあり、お仕事中の飼育員さんの目も真剣です。子供たちが餌やりを担当するのは水族館で一番最初に見た日本海に住む魚の水槽。水槽に少しずつ餌を入れるとたちまち魚が集まってきます。食べむらが無いように、仲間外れにされている個体がいないかなど、細かくチェックしていきます。続いて、水槽の汚れをチェック。生き物の便の様子などを細かく見ながらの掃除は、生き物の環境を整えると同時に、健康に育てる環境づくりの研究にもつなげていきます。楽しいだけでなく、研究や保全活動、そして様々な調査が行われている水族館の一面をしっかりと体験することが出来ました。
お仕事を終えて
バックヤードでの体験を終えて、改めて今日学んだことをまとめます。海の生き物を元気に育てるための日々のお仕事や工夫、そして生き物を守るための研究活動など、様々な水族館の役割をみんなでフィードバックしていきます。表側からは見えなかった水族館の様々な役割を学び終え、子供たちからは「もう1回水族館を見たい!」という声が。海の魅力や大切さに気づく、貴重な一日になりました。
このイベントは、次世代へ豊かで美しい海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環で開催されました。