”魚をさばく”という日本古来の調理技法を次の世代へ継承するとともに、豊かで健全な海を未来へ引き継ぐアクションの輪を広げる取り組み『日本さばける塾 in 塩尻市』が10月22日(土)に開催され、4組15名の親子が参加しました。基本のアジ3枚おろしに挑戦!アジとワカサギの信州ランチボックスを作りました
今年も新型コロナウイルス感染症対策として、会場の定員の半分程度にし、消毒やマスク着用の徹底など十分な対策を行い実施しました。参加したのは、長野県内の親子4組15名です。講師は、長野県最大の鮮魚卸売業者「マルイチ産商」と業務提携を結び、「浜このみのお魚レシピ」と称して、海なし県信州の県民に対し、魚をおいしく食べるレシピを数多く提案し、食目線で“魚ファン”を増やす活動を続けている浜このみさんです。まずは浜先生がアジの三枚おろしのお手本を見せます。続いては子どもたち。今回は、さばくのが初めての子どもがほとんど。最初は、魚をさわるのも躊躇していたものの、時間が経つにつれ、積極的に挑戦。三枚おろしのコツについて、「骨のギリギリの部分に包丁を入れて、”骨に当たる音”が聞こえるくらいが正解」と、浜先生。こどもたちも3枚卸に挑戦。最初はぎこちなかったものの、教わった通りに包丁をいれるとキレイにさばくことができました。
さばいたアジはたまご液につけてフライパンで焼きピカタにします。今回はランチボックスにつめるため、パンにはさみホットドッグならぬアジドッグに。また、ワカサギはフリッターにしました。
海につながる湖の学び~諏訪湖とワカサギの問題~
調理前には、長野県最大の湖である「諏訪湖」と、諏訪湖名産の「ワカサギ」の問題について学びました。諏訪湖は綱走湖(北海道)と共に、ワカサギの“卵”の一大供給地です。諏訪湖で育った卵を全国各地の湖に放つことでそこでワカサギが成長し、各地でワカサギ釣りが楽しめます。しかし、ワカサギの漁獲量は年々減ってきています。かつては200トン以上獲れていましたが、去年は0.4トンしか獲れませんでした。漁獲量が減った原因について「湖の環境の変化」があげられます。湖底の泥化や湖の環境の悪化が原因で生態系に変化を及ぼしているのではないかといわれています。諏訪湖の浄化は進んできていますが、生き物にとっても暮らしやすい環境にするため、湖で暮らす魚の住処を増やすために、水中に藻を広げる水草を増やしたり、湖畔・湖上のごみ拾いといった活動が行われています。子どもたちは、諏訪湖の環境を守るために一人一人ができることを考え生活することが大切だということ、そして諏訪湖を守ることは、その先の川・海を守ることに繋がるということを学びました。調理後、参加者全員で塩尻名産のブドウを栽培する観光農園へ移動。広いブドウ畑の中でおいしくいただきました。
参加児童からは、「はじめてさばいて楽しかった。お魚の命を大切にしようと思った。」「今までは釣りをしてもさばけなかったのでリリースしていたが、三枚おろしを教えてもらったので家でさばくことに挑戦したい。」「諏訪湖がワカサギの産地だとは知らなかった。諏訪湖をキレイにして海もキレイにしたい。」といった意見が出て、保護者からは、「魚を触れなかった子どもが触れて楽しんでいる様子をみて子どもの成長を感じた。」「さばくという体験を通じ、子どものころから海や環境に目が向いてくれればいいと思った。」「さばいて調理するだけでなく、諏訪湖の環境問題も学べて充実した時間を過ごせた。」といった声が上がりました。<アジとワカサギの信州ランチボックス>
・アジドッグ(アジのピカタ入り) ・ワカサギのフリッター ・季節のフルーツのシュワシュワゼリー