レポート
2025.02.06

7mのトレーラーが海を変える!移動型支援センター誕生

海の上を走る船が、陸上からの遠隔操作で動く時代がやってきます。日本財団が推進する無人運航船プロジェクト「MEGURI2040」で、世界初となる「移動型」陸上支援センターが完成しました。わずか7メートルの空間に詰め込まれた最先端技術が、日本の海運業界にどのような変革をもたらすのか、その全貌に迫ります。

コンパクトな空間に詰まった未来の技術

移動型陸上支援センターは、一見するとただのカーゴトレーラーのようですが、その内部は未来の船舶管制室そのものです。全長わずか7メートルの空間に、複数の船舶を同時に遠隔操作するための最先端機器がぎっしりと詰め込まれています。

【提供:日本財団】移動型陸上支援センターの全体内観写真

 

船舶の航海監視・支援と機関監視・支援を同時に行える設計は、将来的な無人運航船の普及を見据えたものです。この革新的な設計により、効率的な遠隔支援が可能となり、船員不足や海難事故の減少など、日本の海運業界が抱える課題解決への大きな一歩となることが期待されています。

【提供:日本財団】移動型陸上支援センターを牽引する様子型

 

災害時でも船を止めない!移動式の強み

この陸上支援センターの最大の特徴は、その名の通り「移動できる」ことです。カーゴトレーラー型を採用することで、災害時などの緊急事態でも安全な場所に移動し、継続して船舶の遠隔支援を行うことができます。日本財団の担当者は、「災害大国日本において、この移動性は非常に重要です。物流を止めないことが、私たちの使命です」と、その意義を強調しています。この機動力は、日本の海運業界の強靭化に大きく貢献すると期待されています。特に、昨今の「物流2024年問題」への対応策として船舶輸送に対する期待が高まる中、サプライチェーンにおける人材不足(船員不足)の解消に資する技術としても注目を集めています。

2040年、日本の船の半分が無人に?

MEGURI2040プロジェクトは、2040年までに国内を走る船の50%を無人運航船化することを目標としています。この野心的な目標に向けて、2025年夏頃から4隻の船舶を使った実証実験が予定されています。第1ステージでは、すでに6隻の船舶による無人運航実証を成功させており、往復距離790kmで、無人航行システムの稼働率は往路97.4%、復路99.7%という高い数値を達成しています。現在は第2ステージに入っており、瀬戸内海を結ぶ離島航路船や生乳・農畜産物を運ぶRoRo船の商業運航時における実用化を目指しています。日本財団は、「MEGURI2040」参画企業53社の英知を結集し、陸上支援センターの実装と普及を目指すことで、この壮大な目標の達成に向けて事業を加速させています。

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