長野県松本市で行われた「いきものみっけファームin松本」プロジェクト。今回は、5月に田植えを体験した子どもたちが待ちに待った稲刈りの日です。鎌を手に、黄金色に実った稲穂に向かう子どもたちの目は真剣そのもの。稲刈りだけでなく、田んぼの生き物観察まで、盛りだくさんの体験に、子どもたちの笑顔が絶えません。さあ、実りの秋を満喫する子どもたちの姿を紹介しましょう。
9月21日、曇り空の下、松本市の田んぼに集まったのは、園児から小学生までの親子約60人。5月の田植えから4ヶ月余り、すっかり大きくなった稲を前に、子どもたちの目は輝いています。
「うれしくて、お腹すいてきた」と話す男の子。自分たちで植えた稲が立派に育ったことに、喜びを隠せない様子です。鎌を手に取り、おそるおそる稲を刈り始める子どもたち。「楽しくて、鎌の使い方が難しかった」という声も聞かれましたが、大人のサポートを受けながら、真剣な表情で作業に取り組んでいました。
刈り取った稲は束ねて、「はぜかけ」という昔ながらの方法で天日干しします。「やっと採れた~!」と達成感に満ちた声を上げる女の子。自分たちの手で収穫したお米への愛着が、子どもたちの表情からひしひしと伝わってきます。
稲刈りの後は、田んぼに生育した生き物の観察タイム。子どもたちは虫網を手に、田んぼの中を元気に駆け回ります。コオイムシ、コオロギ、バッタ、カマキリ、イナゴ、カエルなど、次々と見つかる生き物たちに、歓声が上がります。
「生き物を捕まえるところも楽しかった」と話す男の子。稲の感触を「ざらっとしていました。土は泥みたいで柔らかかった」と表現する姿に、五感を使って自然を体験する大切さが感じられます。
いきものみっけファームin松本推進協議会の副会長、塩原大さんは、「虫がいっぱいいて生き物がたくさんいる、水質がよくて空気がよくて、天気も良くて、自然の恵みをたくさん受けたお米を大切にして頂いておうちに帰ってからも大事に食べてもらいたい」と、この体験の意義を語ります。
このプロジェクトは、単なる農業体験にとどまりません。「海と日本プロジェクトin長野」との連携事業として、海のない長野県と海とのつながりを学ぶ機会にもなっているのです。
塩原さんは長野県の特性について、「まず長野県は水がきれい。気温の寒暖差が大きく、甘みが強かったり、おいしいお米が普通に育てるだけでも取れる」と説明します。この恵まれた環境が、美味しいお米を育む基盤となっているのです。
収穫されたお米は、海と日本プロジェクトのオリジナルパッケージで販売される予定です。子どもたちが育てたお米が、未来の海や長野県の自然環境を支える一助となる―そんなメッセージも込められています。
「焼きおにぎりにして食べたい。楽しみ」と目を輝かせる子どもたち。11月の最終回では、お米の流通を学んだり、自分たちが育てたお米を食べる予定です。田植えから稲刈り、そして食卓まで。一連の体験を通じて、子どもたちの中に食と農業、そして環境への深い理解が芽生えていくことでしょう。