松本市の松本工業高校でイカの解剖実習の授業が行われました。指導するのは、石川県能登町で海洋教育活動を行っている浦田慎さんです。海のない県でも海や海の生物の大切さを実体験として学んでもらおうと企画されました。
解剖に使うのは、スルメイカ。まずは、イカの10本の腕のうち、2本は、獲物を捕まえるための触腕(しょくわん)と呼ばれる長い腕で、大きな吸盤があることを確認しました。
腕の付け根の中心にあるのが、口です。口には、「カラストンビ」とも呼ばれる鋭い顎があり、顎を動かす筋肉とともに、取り出すことができます。次に「外套膜」(がいとうまく)に包まれた胴を開いて、内臓を見ていきます。開いた外套膜には、2つのエラがあり、イカは、このエラで呼吸します。内臓に見える2本の器官は、メスのイカがもつ「包卵腺」(ほうらんせん)。海無し県に暮らす生徒達は、イカの不思議な体の仕組みに興味津々で、説明を熱心に聞きながら、真剣に解剖に取り組みました。
生徒からは、「自然を生きるために、色んな機能がついてて、驚きでした。」「初めて知ったこと、一杯あったんで、すごい興味持ちました。」「海の生きものというのが、海の様々な環境というのと関係して、命をつないでいると。そういったことへの興味・関心につながっていくのではないか。」といった感想が上がりました。
信州でも、大切なタンパク源として親しまれてきたイカは、今、気候変動に大きな影響を受けているとのこと。解剖を通して、海の環境問題も学んだ貴重な実習になりました。