信州イカ調査隊の活動もいよいよ大詰め。スルメイカの生態や海の環境問題に詳しい能登里海教育研究所の浦田慎さんを講師に招き「スルメイカと気候変動」をテーマに特別授業を実施してもらいました。
スルメイカの漁獲量が減少している理由は、実は「これ」という原因がはっきりとは分かっていないことを伝えた上で、考えられる要因の説明がありました。ひとつ目は、外国の影響。日本はスルメイカが減らないように、とってよい量を決めてルールを守っているが、近海の中国や韓国などがどれだけとっているかわからないこと。また、外国の船が違法にとったことでイカの数の回復が遅れている可能性を指摘。ふたつ目は、海水温の影響。海水温が異常だとイカがうまく育たないことが分かっています。特に日本海は100年前と比べると2℃近く上昇していることで、海水の循環が起きにくくなっています。春から夏にかけて栄養不足となり、プランクトンが減少するとイカのエサとなる小魚も減ることから、イカの成長や産卵が遅れ、移動のルートに変化が起きているのではと推測されます。講義を受けた後は、スルメイカの生態を学ぶための解剖実験です。一人1匹のイカをはさみを使って解剖します。実は普段食べている部分はイカの筋肉であることや心臓が3つあること、イカの血は青いことなど知らないことばかり。生き物の不思議を実感した様子です。解剖したイカを利用して、お昼ごはんのおかずに調理していきます。能登のイカ魚醤いしりしょう油とバターを入れたスルメイカのホイル焼きと、イカゲソのみそ汁を作りました。
調理を指導してくれたのはフードコーディネーターの瀬川しのぶさんです。イカの部位を活かした調理指導を定期的に地元小学生にしているほか、能登の海の食材に精通しています。調味料で使用した、いしりしょう油は「能登の伝統的な味なのでイカ料理はもちろん様々な料理に合いますよ」と教えてくれました。
普段は、スーパーで切り身で売られているイカしか見たことのなかった児童たちは、漁師や漁港ではたらく多くの人の手で届けられていることや、保冷などの発達した技術の進化により海の恵みをいただけることに、あらためて感謝した様子でおいしく食べていました。