海と日本プロジェクトin長野では、毎年テーマを変えて、オリジナルの小学生向けの海洋学習プログラムを開催しています。 今年度のタイトルは・・・
イカをテーマに夏休み中の2泊3日で石川県、富山県の海に向かい、長野県と海のつながりを学ぶ体験型学習プログラムです。冷蔵や冷凍の技術がなかった昔、海なし県の長野では海産物がとても貴重な食べ物でした。新鮮な魚介類が手に入らない一方、知恵をしぼり加工を加え山国へと届けれられました。中でも塩丸イカは、イカの内臓を取って皮をむき、茹でて塩漬けにした塩蔵食品で、江戸時代中期ころから日本海沿いの町で作られ、「塩の道」を通り、塩そのものと一緒に内陸へ運ばれてきました。『保存性が高く、味も良く』長野県中南部を中心に定着。流通網が発達し、新鮮な魚介類が手に入るようになった今でも、一般家庭で用いられて広く愛されています。そんなイカだが、今、スルメイカの漁獲量が大きく減少。最盛期の1割以下となり価格も高騰。今、日本の海に大きな変化が起きているのかもしれない。このことから、これからも信州の伝統食材、塩丸イカを含めたイカをおいしく安定的に食するためにできることは何かを考え行動できることを目的とし、海への関心を高め、広める機会が信州イカ調査隊です。2023年7月27日(木)長野市のNBSホールに集結した23人の信州イカ調査隊のメンバーたち。結団式では ひとりずつ自己紹介し、調査の意気込みを発表しました。「海はまだ分かってないことが多くてロマンがあるので好き」「海の生き物は一匹ごと特徴があるのがおもしろい」「海はいつ行っても新しい発見がある」「お母さんがイカの値段が上がっていると言ってなぜなのかを知りたい」「海で泳いだことがないので、もぐって海の生き物を観察したい」「イカの体の中がどうなっているかを知りたい」など意気込みが伝わる前向きな言葉が続々とでました。
まずは、海と地球の深いつながりを学ぶため、巨大で触って動かせるデジタル地球儀を使った授業を行いました。講師は長野県環境保全協会の堀池政史さんです。直近4日間の地球上の雲の動きや現在、走行している船舶の動きをリアルタイムで表示すると児童からは「すごい」という言葉がでました。
講義はクイズ形式で行われ、海は地球の表面の約70%を占めることや地球温暖化によりたまった熱の9割以上は海が吸収しているので、海水温も上昇してしまうそうです。また、地球全体の活動に海が大きく影響していることを学び、このまま何も対策をしないと地球全体の温度が4℃以上上昇してしまうことも教えてもらいました。
このデジタル地球儀は「触れる地球」が売りで、手を当てると地球を自由に動かすことができます。児童からは、「地球のほどんどが海だと感じた」「海も広いが雲も多いことがわかった」などと新たな発見があった様子。児童たちはこの後いよいよフィールドワークへ。濃密な3日間の活動が始まります。