レポート
2024.11.01

千曲川の守護者!川魚料理人が挑む生態系保護の闘い

清流千曲川のほとりで、川魚料理を提供する西沢徳雄さん。早朝から鮎の投網漁に励む日々の中で、彼は千曲川の魅力を発信し続けています。しかし、その豊かな自然にも異変の兆しが。カワウの大量飛来やブラックバスの侵入など、新たな脅威に直面する千曲川。西沢さんの奮闘と、千曲川の未来に迫ります。

「清流の女王」を守る、千曲川の魅力

上田市を流れる千曲川。その清らかな流れは、「清流の女王」と呼ばれる鮎を育みます。西沢徳雄さんは、この千曲川の恵みを守り、伝える活動に情熱を注いでいます。「まさしくロマンが満ち溢れている場所だと思っている」と西沢さん。ビール瓶ほどの大きなウナギや3kg超のスッポン、大きな鮎など、千曲川は今も驚きに満ちた生態系を維持しています。

西沢さんが提供する伝統的な鮎料理は、訪れる人々を魅了します。「本当においしかった」というお客様の言葉が、彼の原動力となっています。「千曲川なくして、私はいない。千曲川は私の人生そのもの」と語る西沢さん。その言葉には、川への深い愛情と使命感が込められています。

カワウとブラックバス、迫り来る新たな脅威

しかし、この豊かな生態系にも危機が迫っています。特に目立つのが、川魚を狙うカワウの増加です。取材中にも、200〜300羽ものカワウの群れが一斉に首を川に突っ込み、魚を捕食する光景が見られました。西沢さんは「年々数え切れないほどのカワウを見かけるようになった」と危機感を募らせます。

さらに、外来魚であるブラックバスによる食害も深刻です。「台風19号前は鮎を獲るより、ブラックバスを獲ったほうが早いといった感じだった」と西沢さん。生態系の変化を肌で感じています。これらの脅威に対し、西沢さんは自ら組織した「チーム鯉西」でブラックバスの駆除活動を行っています。また、カワウに対しては花火で追い払うなど、懸命の努力を続けています。

千曲川の未来へ、守り続ける決意

「新しいものが昔からある生態系を壊している」と語る西沢さん。しかし、彼の活動は単なる駆除にとどまりません。「キレイになった千曲川を何とか維持しながら、生態系を守れるよう駆除活動もして、千曲川の魅力をいろんな人たちに伝えられるようにしていきたい」と、未来への展望を語ります。

西沢さんは、千曲川の生態系を守ることが海の保全にもつながると考えています。「台風のおかげで上流にしかいないかじかが本流でも獲れるようになった。つまり川自体はキレイになってきて、キレイな水、川が日本海に流れていっていると思う」と、希望を見出しています。

千曲川の自然と向き合い続ける西沢さん。その姿は、私たちに自然との共生の大切さを教えてくれます。千曲川の未来は、こうした地道な努力と熱い想いによって守られていくのです。
(取材:2024年9月27日)

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