海の大切さを学んでもらおうと海と日本プロジェクトin長野では、毎年テーマを変えて、小学生向けの海洋学習プログラムを開催しています。 今年度のタイトルは・・・
ブリをテーマに夏休みの計3日間にかけて長野県と海のつながりを学ぶ海洋学習プログラムです。海なし県”ながの”は今も昔も海への憧れが強く、海産物への思いが強い地域性があります。中でも長野県松本エリアでは、大晦日に「年取り魚」として塩ブリを食べる習慣があります。その昔、運ばれてきた道はブリ街道と称されてきました。そのブリの産地である富山湾の海に今、大きな変化が起きています。海水温の上昇などの理由からブリの漁獲量が安定しない状況が近年続いているのです。天然のいけすと称され、豊富な海洋資源を擁する富山湾は、長野・富山にまたがる北アルプスの山々の雪解け水が山にしみ込み、栄養を含んだ水が川に流れ海へと注がれています。いわば富山の海の問題は、その源流である長野県の問題にもつながります。本イベントでは信州ブリ調査隊と題し、森と川と海のつながりを学ぶとともになぜ富山湾では多くの種類の魚が存在し、獲れる環境があるのか。一方で、ブリの漁獲量の減少や生息域の変化がなぜ起きているか、また、新鮮な魚が信州に届けれれるまでといった産業面としての漁業も学まびます。こうしたテーマのもと集まったのは、長野県内の小学校に通う5,6年生21人。みんな海や魚が大好きで、海が抱える問題を学びたいとの意欲溢れるメンバーです。ほぼ異なる学校のメンバーのため、まずは自己紹介。海のすきなところは「海を見ていると青くて広くてわくわくする」「海は宇宙よりも謎が多いと聞き興味がわく」「波の音を聞くととても落ち着く」などの意見があり、今回、学びたいことは「将来漁師になりたいので、その仕事を見てみたい」「ブリがおいしくて好きなので、どのような生態か調べたい」「長野県の森や川と海がどのような関係性があるか調査したい」「地球温暖化が与える海の影響を調べたい」などの発表がありました。イベントの視察に訪れた海と日本プロジェクトを推進する日本財団の海野光行常務からは「山・川・海のつながりを理解し、自分のこととして行動するきっかけにしてほしいと思います。海がない長野県に生まれ育ったのに、大人になって航海士や海上保安官、漁師など、海で仕事をするようになる方が意外に多くいます。だから海の環境を良くするために、長野県の子どもたちにはとても期待しています」とあいさつがありました。
信州ブリ調査隊の隊長は、山口県出身で祖父が漁師で海が大好きと話すNBS長野放送の松山航大アナウンサーです。お兄さん的存在でみんなの活動を先導していきます。松山隊長からは今回の学習の目的を改めて伝えました。
・海なし県の信州は、海にどのような形でつながっているのかを山や川に行き調査
・富山県の日本海に行って、海で起きている問題や環境の変化、漁業の仕組み学ぶ
・未来の海を守るために自分たちができることは何かを考える
結団式を終え、隊員たちはいよいよフィールドワークへ。濃密な3日間の活動が始まります。