長野県の小学生20人が参加した『信州カツオ調査隊』。カツオをテーマに、海のなし県・長野と太平洋を結びつきを学びました。2日目、焼津鰹節水産加工業協同組合の冷蔵庫で、大量の冷凍カツオを見学した隊員たちは、いよいよ鰹節の工場へ。
訪れたのは、水産加工の工場が集まる団地の中にある「トマル水産」の工場。講師は社長の大石智之さんです。工場に一歩足を踏み入れると、鰹節の香りが漂っていて、隊員たちからは「いい匂い」との声が上がりました。
まず大石さんは「鰹節は2つ種類があります」と説明してくれました。最後の工程でカツオの身をいぶして乾燥させたものが「荒節(あらぶし)」。強いの香りと味が楽しめます。
そこから、さらにカビ付けをしたものが「枯節(かれぶし)」。「荒節」より上品でマイルドな味わいです。「枯節」の中で、カビ付けと天日干しを複数回繰り返して熟成させたものは「本枯節」と呼ばれます。完成までに半年近くかかるそうです。
さらに1尾のカツオから4本の節ができ、背中側の2本を「雄節(おぶし)」、お腹側の2本を「雌節(めぶし)」と呼ぶことも教えてくれました。「雄節」は脂肪が少なくスッキリした味わい、「雌節」はコクがあり、一流の料亭などは上手に使い分けているそうです。
初めて触れる鰹節の世界。隊員たちは熱心にメモを取っていました。
続いて実際に作業を見せてもらいました。工程は主に8つあります。
まず「生切り」。カツオの頭を切り落とし、内臓を取り除き、3枚におろします。職人さんが手際よくさばいていました。
そのあとは、切った身をかごに載せる「籠立て(かごだて)」、かごのまま身を釜で煮る「煮熟(しゃじゅく)」、ていねいに骨を取り除く「骨抜き」、すり身を塗って形を整える「修繕」と続きます。
次の工程は「焙乾(ばいかん)」。薪を燃やしていぶし、香りをつけながら乾燥させます。荒節はこれで完成。
枯節は、このあと「削り作業」があり、カビの力で水分を取ってうま味を凝縮させる「カビ付け」と天日干しを繰り返して、ようやく完成です。
隊員たちが注目したのは「焙乾(ばいかん)」の作業。設備の扉を開けると、煙が立ち上りました。カツオの身をいぶすのに使われていたのは長野県産のコナラの薪です。
大石さんは「寒い信州で育ったコナラは堅く、長く燃えて、香りも良い。だから焼津の鰹節に長野県の薪が欠かせないんです」と説明てくれました。
信州の薪が遠く離れた焼津に・・・。隊員からは「長野の薪が役立っていてうれしい」「こんなに手間がかかっているなんて知らなかった」などの感想が聞かれました。
見学の最後、隊員たちは「これからもおいしい鰹節を作ってください」と、伊那市から持ってきた薪を大石さんたちにプレゼント。森の恵みを「リレー」するミッションを果たしました。
工場見学のあとは、実際に鰹節を削って味わうことに。組合の加工センターに向かいました。