長野県の小学生20人が参加した『信州カツオ調査隊』。カツオをテーマに、海のない長野県と太平洋を結びつきを学びます。
初日、結団式を終えた隊員たちは、「伊那市民の森」へ移動。森(山)は川を通じて海と通じています。いわゆる「水の循環」です。森は、降った雨をいったん葉や土の中にたくわえ、栄養たっぷりの水にして川や海へと流します。その栄養で魚や貝が豊かに育ちます。魚にとって、森の存在は生命の源といえます。
まず、その森を育み、活用する林業を体験することにしました。指導してくれたのは、株式会社やまとわの川内洋輔さん。株式会社やまとわは「夏は農業、冬は林業」という循環型農林業を行っている会社。地元の木材を100%使った注文家具や昔ながらの包装材(つつむもの)「経木」を製造しています。
まず隊員たちが見学したのはアカマツの伐採。高さ約30メートルの大木が地響きを立てて倒れると、子どもたちから自然と拍手が起こりました。切り倒されたアカマツは、木材などに利用されます。そして切り倒された場所には別のアカマツの木が育っていきます。こうしたサイクルによって、森はいきいきとしていきます。
木を切って人間の暮らしを支える林業。その一方で、間伐(太い木を育てるため、混みいった林で、ほかの木を切ること)を含め、林業は森の「健康」を保つ役割も果たしています。
次は隊員たちの出番。倒れた木の枝払いやコナラの薪割りをしました。多くの子どもたちにとって初めての体験でしたが、力を合わせて作業をやり遂げました。
「信州カツオ調査隊」には重要なミッションがありました。それは、自分たちで割った薪を鰹節の生産者に届けること。
実は鰹節づくりには、カツオの身を燻して乾燥させるために長野県産の薪が欠かせないのです。子どもたちは薪をたがで括ってもらい、「森の恵み」を海産物へとつなぐリレーのバトンとして、静岡県焼津市に持っていくことにしました。