海の水から塩を作ろう!
冒険ツアー2日目。朝食は7時なので「6時半に起きればいいかな」と言っていましたが、前日の疲れもなんのその!5時頃から起きだして、朝の海辺を散歩した子がたくさん。前日は見られなかった魚やカニを見つけたり、「フグの死がいがあった」「海がキラキラ光ってた!」「きれいな石拾ったよ」「蛇がいた!」と、それぞれの発見を教えてくれました。
さて朝食後、お世話になった民宿を出発し、海の水を使って塩づくり体験をする朝日町の「夢創塾」へと向かいます。
夢創塾は、もともと棚田だったところを切り開いた長崎喜一塾長が、自然の中での作業を通じて自然の恵みを肌で感じ、自然を大切にしていく気持ちを育てようと「自然体験塾」を行っています。
子どもたちが、昨日海で汲んできた海水を使い、早速塩づくりに取り掛かります。
まずは、ポリタンクに入った海水を、布を張ったヤカンに移して濾過します。
濾過した水をバケツにため、四角の大きな銀色の鍋へ投入。
鍋に入った海水を、長崎さんが山の木を利用して作った炭を使ってグツグツと煮詰めていきます。
が!海水を煮詰めて塩の塊ができるまでには、48時間かかるとのこと!しかも、5時間おきに炭をつぎながら煮詰めていくのだそうです。
そこまで待ってはいられません。が、すぐ隣には、水の中に塩の塊ができている鍋があります。
ここで、「まるで料理番組のよう」なんて思ってはいけません!
鍋の中身は、2週間前にここを訪れた名古屋の子ども達が持ってきた海水。それを48時間かけて煮詰めたものだそうです。
自分たちが汲んで来た海水とは違いますが、同じような体験をした子どもたちが汲んできた海水で、みんなが塩を作ります。そして、今日、みんなが持ってきた海水は、お盆過ぎに訪れる福島県の子どもたちが塩づくりに使い、さらに福島の子どもたちの海水は、その次に訪れるアフリカの人たちが塩にするのだそうです。長崎さんによると、これが「塩外交」。自分たちが見えないところで、塩を通じた交流が生まれていました。
さて、そんなわけで、すでに固まった塩を水の中からすくい出し、バケツに張った布へとためていきます。
「この塩はどんな味かな?」塊を少し取って口に入れ、「うわっ!にがっ!」「変な味」と思わず顔をしかめる子どもも。その布を縛り、ひもで吊るすと、水がぽたぽたと落ちてきます。この水は「にがり」。豆腐を作るときなどに使いますが、このにがりをしっかり出さないと、おいしい塩にならないのだそうです。もちろん、袋からしみだしてくるこの水も、興味津々で味見です。「うわぁ…。まず…」と、声にならない声が!!
両手に木の棒を持ち、拍子木を打つようにしてパンパンと袋をたたき、水分を出していきます。力作業に「疲れた~」と声も上がりましたが「みんながしっかり叩かないと、おいしい塩にならないよ」と励まされ、交代しながら頑張ります。タイミングがつかめた!と、リズミカルにたたく姿もありました。
水分が取れると、今度はその中身をザルにあけ、平らにして天日干し。もちろん、味見です。「しょっぱ!!」
この塩を2日ほどかけて天日干しにし、乾燥した塩が「粗塩」です。ここでももちろん、味見をした子どもたちから「しょっぱいけどおいしい」「ザラザラしてる」「おにぎりに合いそう」といろんな声が上がります。
その粗塩を石臼でひいて精塩すると、さらさらとした白い粉になりました。
臼でひく前とひいた後の塩を食べ比べ。ひいた後の塩は「フワフワしてる」「片栗粉みたい」「しょっぱいけど、ちょっと甘い?」。
臼でひくだけで、舌触りだけでなく、味まで変わることに子どもだけでなく大人もビックリ。長野県立大学 健康発達学部 食健康学科の中沢弥子教授によると、「臼でひいただけで成分は変わらないので、味を感じる舌の部分への刺激の違いでは?」とのことでした。
たくさん働いた後は、その塩をふりかけて作った海鮮ピザを堪能。木に吊るされたブランコも楽しみました。
お土産に、石うすでひく前とひいた後、2種類の塩をお土産にいただきました。
塩を作る大変さを改めて知った子どもたち。汗水たらして作った塩を持ち、塩の道を通って長野へと向かいます。