森・川・海のつながりを調べている天竜川調査隊。「海の調査」のため、1泊2日で静岡県を訪れています。浜松河川国道事務所による講義で「遠州灘の現状となりたち」について勉強しました。
続いて訪れたのは、浜松市のサンクチュアリネイチャーセンター。遠州灘海岸の中田島砂丘入り口にある施設です。
天竜川調査隊は、このあと「ウミガメの放流」を体験します。そのための事前学習として、ウミガメや海の生き物に関するお話を聞きます。この施設を運営するのは「サンクチュアリエヌピーオー」。遠州灘海岸のアカウミガメを始め、海鳥のコアジサシや希少な植物の保護調査活動などをおこなっている団体です。
毎年5月中旬になると、南の国から黒潮にのって、遠州灘海岸にアカウミガメがやってきます。その目的は産卵。1頭の親ガメは、1シーズンで500個ほどの卵を産みます。ふ化した子ガメは海に入り、南の国に向かいます。子ガメが大人になって、再び遠州灘海岸を訪れるのは、20年〜30年後です。
しかし近年、さまざまな事情で、ウミガメを取り巻く環境が悪化しています。オフロード車が海岸を走り、卵がつぶれることや、わだちによって子ガメが海に戻れないこと。また、貴重なウミガメの卵を違法に盗掘する人もいます。
海洋ごみの問題も深刻です。アカウミガメの好物はクラゲですが、海に浮かぶポリ袋をクラゲと間違えて食べ、死んでしまうケースもあります。砂浜にも多くのゴミが隠れています。そして、これはウミガメだけの問題ではありません。プラスチックごみをはじめ、人間の出すごみによって、すべての海の生き物たちが、命の危険にさらされているのです。
ウミガメの生態と、海の生き物たちの悩みについて学んだ隊員たちは、いよいよ中田島砂丘にやって来ました。
ウミガメの赤ちゃんを、海へ放流します。
ひとり1匹ずつウミガメを受け取った隊員たち。ウミガメにとって 人間の体温は熱すぎるため、やけどをさせないよう、甲羅をつまむように持ちます。ウミガメは早く海に行きたいのか、ヒレを元気よくパタパタと動かします。その可愛らしさに、子ども達も大人のスタッフも大感激!
自分が放ったウミガメが海に入るまで、ずっと応援し続ける子ども達。歩みが早いもの、遅いもの、ちっとも進まないもの・・・ウミガメたちの個性はさまざまです。うまく波に乗れず押し戻されるウミガメには「がんばれ~!」と声援がとんでいました。
最後に、ウミガメを始め すべての海洋生物を守る願いを込めて、海に向かって全員で叫びます。
「海の生き物、元気でねー!」
きょう放流したウミガメが、再び遠州灘に戻るのは20年〜30年後。今よりもキレイな海を、キレイな砂浜を、作っていかなければいけません。