レポート
2018.07.10

【塩尻】日本海にも太平洋にもつながる場所!

7月8日、「信州 塩をめぐる冒険」の塩尻エリアでフィールドワークが開かれました。この日は前回の会場「えんぱーく」を飛び出してバスで出動! 今回の講師も、しお研究会会長で塩ソムリエの加藤光久さん。移動中のバスの中も「教室」です。

バスで話す加藤さん

本山宿

 まずは最初に見学する「本山宿」や「宿場」について、「バスの教室」でお勉強。
「宿場」とは現在でいう電車の駅のような場所で、人が休んだり泊まったりする他、情報伝達の拠点など、いろんな機能を持っていました。また、塩尻には本山宿の他にも奈良井宿、洗馬宿、塩尻宿などがあり、善光寺、伊那、江戸などへの分岐点にもなっていた重要な場所だったのだそうです。

本山宿に到着

本山宿に到着。看板には木曽谷から松本へ向かう重要な位置にあったことや、「松本藩の南境として口留番所が設けられ、米穀・塩、女など通行改めが行われた」と書かれています。

本山宿

「口留番所(くちどめばんしょ)」とは、貴重な食べ物などの出入りを制限していた番所で、幕府の関所のような所。松本藩は日本海の塩(北塩)の流通のみを許していたため、値段の安い太平洋の塩(南塩)が持ち込まれないよう、ここで制限していたのだそうです。
説明を聞いた子どもからは「同じ塩でしょ。止めなくてもいいのに」と素直な声もあがっていました。

街道を歩き、屋号の表札や口留番所跡、中山道や本山宿の碑などを確認。碑のそばには「木曽街道六十九次之内本山」という浮世絵もありました。本山宿が「蕎麦切り発祥の地」と言われる由縁や、「戸隠のソバも塩尻発祥らしい」というお話も聞きました。

中山道の碑

浮世絵

分水嶺

 次の目的地、「分水嶺」へ向かうバスの中で、加藤さんが「『分水嶺って何?』という宿題、調べてきたかな?」と質問。6年のゆうき君が「太平洋と日本海に、川が分かれるところ」と答えてくれました。
これから向かう「善知鳥峠(うとうとうげ)」には分水嶺があり、南側に降った雨は天竜川から太平洋へ、北側に降った雨は犀川から信濃川(千曲川)に合流し、日本海へと流れていくというのです。
海から遠く離れた塩尻に、太平洋と日本海の両方につながる川を分けている場所があるなんて…!! 壮大なイメージを抱えてバスから降り、昭和49年に整備されたという「分水嶺公園」へ向かいます。

分水嶺 看板

小さな池のような場所から2方向へと水が流れていて、「善知鳥山川より天竜川をへて太平洋へ」「権現川より信濃川をへて日本海へ」という2つの看板が、その行方を知らせてくれています。

分水嶺

海へとつながる川をまたいだり、写真を撮ったりしながら「1つの場所から2つの海までつながってるって、すごい」と子どもたち。宿題で分水嶺を調べてきたゆうき君は「こんな小さな池みたいなところから、海につながっているのもびっくり。もっと、ぶわ~っとスケールが大きい所かと思ってた!」と話してくれました。

バスの教室では、「塩尻」の名前の由来についても勉強しました。
「塩の道の終点、しっぽに当たることからという説が主流だが、昔の都人(みやこびと)が富士山のことを『塩尻』と呼んでいたことにも関係するのでは」と加藤さん。
塩を取ったあとの塩田の山に、うっすらと塩の白が現れることから「塩尻」が富士山を表す言葉になったという説があるのだそうです。そういえば、塩尻峠から富士山が見えますね。
はっきり分かっていないことも多いそうで、「皆さんもこれから勉強すれば、まだまだ面白いことが見つかるかもしれないよ」と呼びかけていました。

海の恵み 塩を味わう

分水嶺を後にして、ちょうどお腹がすいてきた頃、バスはえんぱーくのお隣、ウイングロードに到着。
野菜ソムリエプロの中島裕子さんと、飾り巻き寿司インストラクターの山田敏子さんに教わりながら、おにぎりを作りました。

おにぎり作り

用意してもらった塩昆布などの具材を、炊き立ての地元米と一緒に握り、地元産のレタスでくるみます。レタスは、加藤さんいわく能登半島の「絶滅危惧種」の塩と、ミネラル水とで作った塩水に30分ほど漬けて、しんなりさせたものです。
座って食べる場所も用意されてはいましたが、握りたてのおにぎりをその場で思わずパクリ。
 おにぎりぱくり

レタスの塩加減とご飯が絶妙にマッチして「おいしい!」。
作りながら食べながら、わいわいにぎやかに「塩」と「塩尻」を味わいました。

おにぎり食べたり作ったり

おにぎりの断面も、色鮮やかな地元の野菜で作ったピクルスも、きれいでしたよ!

おにぎり断面きれい

おにぎり完成

盛りだくさんの内容を学んだ子どもたちですが、「言葉が難しくてわからないところもあったから、もっと詳しく知りたいと思った」「もっと知って、友達に教えてあげたい」と意欲的な声がたくさん。8月の富山冒険ツアーに向けて「塩の作り方を知りたい」「海水から塩を作るのには、どのくらい時間がかかるのかな」と、ますます興味が高まってきています。

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