「信州 塩をめぐる冒険」の塩尻エリアの勉強会が6月16日、塩尻市の「えんぱーく」で開かれました。講師は、塩尻市の「しお研究会」の会長で、塩ソムリエの加藤光久さん。
加藤さんが7つの質問を問いかける形式で「塩」のお話は進みました。
1.塩はどこからとれるのかな?
答えは、世界の塩の総生産量は年間約2.4億トン。その65%が岩塩、34%が天日塩であることを知りました。
2.塩の作り方はわかるかな?
塩の作り方にはいくつもあることを学びました。
神事で行われる藻塩焼きや、能登半島の揚浜式塩田、瀬戸内海の入浜式塩田などがあることを知りました。
能登半島の揚浜式塩田は、海水をくみ上げることから始まりますが、瀬戸内海の入浜式塩田は、満潮時に海水が流れ込む通路を作って浜に取り入れる効率的な製法。日本人が一番多く食べたとされる塩は、この瀬戸内海の入浜式塩田の塩とされています。
6月10日に大町の子どもたちが学んだ学習でも、瀬戸内海から塩が運ばれていることが分かっています。
そして、現在の日本での製造は工場での製造がメインとなっています。
3.海水や血液の塩分はどれくらい?
「海水は約3%、血液は0.9%です」と加藤さんが答えを示すと、子どもたちからは「え~、あんなにしょっぱいのに?」と声があがりました。
4.日本での塩の使われ方は?
食品工業に使われるのは全体の約9分の1。みそやしょうゆ、パンやうどん、点滴や薬などはこの中に入ります。
そのほか、約8割はソーダ工業用に使われているそうです。ソーダ工業用とは、例えばガラス製品や塩化ビニール製品、パルプ、皮革のなめしに使われているそうです。
「冬の道路にまく融雪剤にも使われています」と聞き、食品以外の塩の使われ方に、子どもたちは驚きの表情をみせました。
5.日本ではどんな塩が使われている?
約1割が国産の海水塩と山塩、9割は輸入の天日塩であることが分かりました。
6.なぜ身体に塩が必要なの?
人間の身体は60兆個の細胞でできています。細胞を活性化するために働くのが塩やミネラルです。塩が足りなくなると、のどが渇いたり頭痛が起こる脱水症状や、だるくなったりします。
「塩が足りなくなると健康に影響があることや、体内の塩分を知ることができてよかった」と、参加者のひとり、みことさん(4年)もメモをとって塩の知識を増やしました。
7.みなさんは、どうやって塩を摂取していますか?
みそや、しょうゆ、漬物などに塩分が含まれています。
7つの問いを基本に話を聞きながら、加藤さんが持っているという「塩」を見せていただきました。
国内をはじめ海外など多彩で、バクテリアが含まれるピンクの岩塩や黒い岩塩、湯せんで水分を蒸発させて作るという珍しい塩、揚げ浜式の塩など、初め見る塩が多く、子どもたちは加藤さんの解説に耳を傾けたり、岩塩をなめてみたりと興味を示しました。
最後に、加藤さんのアイデアから生まれたというソフトクリーム「あやみどりの塩ソフト」を、加藤さんが経営する店でごちそうになりました。
「あやみどり」とは塩尻の特産の大豆。この「あやみどり」をジュレに加工してトッピングし、最後に塩をふりかけたのが「あやみどりの塩ソフト」です。
スイカに塩をかけると甘みが増すのと同じように、甘いソフトクリームに塩をかけることで甘さが引き立てられるアイデアソフトなのだそうです。この意外な食べ方に、子どもたちも「おいしい」と言って味わいました。
ソフトクリームに合う塩の選択には「苦労したんですよ」と加藤さん。試行錯誤の末に選ばれた塩は、上杉謙信が武田信玄に塩を送ったことで「敵に塩を送る」の語源ともなった新潟の塩なのだそうです。
おいしいご褒美で締めくくった塩尻の第1回の学習会。
加藤さんは、「塩」が付くまちで生まれ育ったことから塩の勉強をするようになり、今では全国の塩ソムリエのみなさんとの交流があるそうです。「塩尻から来ました、と言うと多くの方に興味をもってもらえるので、塩尻の子どもたちにもぜひ故郷を誇りに、全国に伝えてほしい」と語りました。