山国・信州でこれまで例のなかった取り組みが始まりました。それは海のない県の高校生たちが海洋政策の立案に挑戦する「長野県高校生海の政策コンテスト」。「本番」に向けて、高校生3人1組の3チームがスタートアップ合宿に参加。2日目は漁師の仕事を体験しました。
まだうす暗い午前5時。高校生たちは七尾湾の鹿渡島定置網へと向かいました。「きょうは本物の漁師仕事を体験してもらいます」。案内してくれたのは漁師歴50年の酒井秀信代表です。この日は、マイワシが大漁。他にもサバ、アジ、イカなど、様々な魚が水揚げされました。
最初の「仕事」は漁船から水揚げされた魚の選別作業です。タモ網ですくい上げられた魚を、種類ごとに素早く仕分けていきます。最初は恐る恐る手を伸ばしていた生徒たちも、指導を受けながら、徐々に作業に慣れていき、緊張が解けていく様子が伺えました。
続いて加工所に移動。魚のさばき方講座です。包丁の握り方から内臓の取り方まで、一連の流れを丁寧に教わりました。サバやイワシの3枚おろしに挑戦する生徒たち。慣れない手つきで悪戦苦闘する様子に、酒井代表は「最初は誰でもそう。すぐに上達するから」と声をかけました。
指導する酒井秀信代表
魚の血を見て驚く生徒もいましたが、真剣な表情で作業に取り組む姿が印象的でした。
さばいた後は、朝食を囲みました。自分たちでさばいた魚だけでなく、新鮮なブリの刺身、イワシを豪快に入れたみそ汁など、まさに「漁師めし」を堪能しました。
食事を囲みながらの会話。酒井代表は「後継者不足が進んでいる」「燃料代の高騰が経営を圧迫している」と漁業の現状を語りました。
生徒が「どうしたら若い人が漁業に興味を持ってくれると思いますか?」と質問すると、酒井代表は「まずはこうして現場を知ってもらうこと。漁業の楽しさと誇りを伝えるたい」と答えました。
酒井代表を囲んでの座談会では、漁師の1日の生活スケジュールや売り上げの実態など、具体的な質問が次々と飛び出しました。若者の漁業離れが進む中、伝統ある漁業をどう未来につなげていくのか。高校生たちは、現場の声に真剣に耳を傾けていました。
次回は午後に行われた能登の地域課題と観光の可能性についての講義などをお伝えします。高校生たちはこの体験をどのように政策提案に活かしたのでしょうか。