2021年11月17日(日)、塩尻市の塩尻総合文化センターの調理室で『さばける塾in長野県』が開催されました。多くの人に魚をさばけるようになってもらい、さばくことの楽しさ、魚のおいしさ、海への感謝などを広めようとする取り組みが「さばける塾」です。全国各地で開催されており、長野県では今回で5回目の開催です。
今年も新型コロナウイルス感染症対策として、会場の定員の半分にし、消毒やマスク着用の徹底など十分な対策を行い実施しました。参加したのは、長野県内の4組11人のファミリーです。今年のテーマ食材の魚は「アジ」と「ワカサギ」。
さばける塾は、単なる料理教室ではありません。日本人の海離れ、魚離れが進む中、海洋環境保全・海洋文化継承の社会的な機運醸成を目的としています。今海で起きている変化や問題についての学びからイベントはスタート。講師と調理指導を担当するのは、クッキングコーディネーターとして活躍中の浜このみさん。アシスタントを務めるのは、長野放送の戸田山貴美アナウンサーです。
調理の前に学びのテーマは、「諏訪湖のワカサギ不漁問題」。長野県最大の諏訪湖は、日本でも有数のワカサギの卵の供給地。しかし、今年はワカサギの卵がほとんど獲れない状況。詳しい原因は不明ですが「湖の環境の変化」が影響しているのではという指摘もあります。考えられるのは、諏訪湖の湖の底は、かつて汚れた際の泥がたまっていて、それが環境を悪くさせている可能性があります。諏訪湖の環境を守ることは、その先の川、海をまもることにつながると説明しました。
学びの後は、いよいよ調理。まずは、浜このみさんがアジの3枚おろしのお手本を見せます。魚をさばいたことがある人と児童に質問すると以外にも全員が手を挙げました。今年のさばける塾は魚への関心が非常に高いメンバーが集まりました。
児童たちもさっそく3枚おろしに挑戦。さばきの経験があるだけに手際がとてもいい感じ。
三枚おろしのコツについて、「骨のギリギリの部分に包丁を入れて、”骨に当たる音”が聞こえるくらいが正解」と、浜先生。さばいたアジとワカサギを調理し、浜先生考案のおしゃれランチボックスを作りました。
アジのピカタのサンドイッチ と ワカサギのフリッター
さっそく試食と行きたいところでしたが、感染症対策のため会場内での試食はできません。そのため、ランチボックスにして別の会場に移してのお昼ごはん。その前にさばけるマスターのカードを全員に授与しました。
▼参加者の感想
⼩学6年⽣⼥⼦「アジはちくちくして痛かったけど、アジの身の降ろし方がよくわかった。家でもやりたい」
⼩学5年⽣男⼦「ごみを捨てていく人たちがいっぱいいて、魚も減るからごみを海に捨てないようにしたい」
⼩学4年⽣男⼦「海が変化していることを知ったので大切にしたい」
⼩学2年⽣男⼦「海の中の一番多い生き物はタコとイカの仲間だと知ってびっくりした」
⼩学6年⽣⼥⼦保護者「これから時代が進むにつれ海が心配になった。子どもと一緒に自分たちが何ができるかを日々の生活の中で考え、行動していきたい」
⼩学5年⽣男⼦保護者「子どもたちには難しいと思っていた3枚おろしを進めていく姿にたくましさを感じた。このような海を考え、海の恵みをいただくイベントに親子で参加でき大変有意義であった」
一行は、会場から車で10分ほどの観光ブドウ園に。会場の塩尻市はブドウの産地として有名です。お腹がすいたところでみんなでいただきます。
自分で魚をさばいてみることをきっかけに、海と親しむ「さばける塾」。長野県から新たに11人のさばけるマスターが誕生しました。