10月5日(金)、安曇野市明科の長野県水産試験場で、「海のお仕事図鑑」というイベントが開催されました。「海のお仕事図鑑」は、子ども達に海や川への関心を持ってもらい、海や川に関する仕事に興味を抱いてもらうことを目的とする体験型プロジェクトです。参加者として、安曇野市内の小学生10人が集まりました。
長野県水産試験場のお仕事は、「河川漁場の高度利用技術の開発」「諏訪湖浄化対策に関する調査研究」「ブラックバス等の駆除技術開発」・・・など、多岐にわたります。今回 子ども達が体験するのは、「新品種の開発と卵・稚魚の提供」に関するお仕事です。長野県水産試験場といえば、「信州サーモン」を開発し、卵や稚魚を提供していることで有名です。
信州サーモンなどの新品種は、海なし県の長野県で、海産物に遜色のない独自のブランドとして確立しています。輸入水産物の増加や消費の低迷等の構造変化にも対応し、地産地消に貢献しています。肉厚でおいしく、魚嫌いの子どもを減らすことにも一役買っています。
そのような新品種を開発したり、安全・安心・おいしく育てるための基礎となる作業、「解剖」や「エサやり」などを、子ども達にお仕事として体験してもらいます。
イベントをサポートしてくれるのは、環境部長の山本聡さん(写真中央)。普段は外来魚対策、河川湖沼増殖技術に関する試験研究、漁業指導などを担当しています。
まずは ニジマスの解剖です。解剖は 魚の生育状況を確認し、「病気にかかっていないか」など 健康状態を観察するために大事な作業です。今回は、生殖腺を観察して雌雄を判別(メスの生殖腺には卵の粒が見える)。また生殖腺指数(生殖腺の重さ÷体重×1000)を計算し、その数値から、成熟しているか/未成熟か(成魚か/未成魚か)を判別しました。
今回参加した子ども達は、皆 魚の扱いには慣れているのか、物怖じすることなく、熱心に解剖をおこないました。
品種改良をおこなう際、オスとメスの水槽は分けられます。オスの水槽にメスが、メスの水槽にオスが交じっていないかを確認するために、雌雄の判別は大事な作業です。ちなみに 実際は、魚がもっと小さい段階(数cm程度)で雌雄判別を行うそうです。
続いて、飼育池でエサやり体験。
大きなニジマスを捕まえて、間近で観察しました。
さらに、投網体験も!
およそ2時間のプログラムで、長野県水産試験場のお仕事を さまざまに体験しました。
最後に お仕事を習得した証として、山本さんから「海のお仕事エキスパート認定証」が授与されました。
子ども達は、「魚のことをたくさん知れて面白かった!」「解剖をやって楽しかった!」「将来の夢をまだ決めていなかったけど、水産試験場で働くのもいいなと思った!」などと、感想を話していました。
私たちの食卓に魚が届くまでには、たくさんの人たちのさまざまな努力や苦労があります。その一端に触れることができた子ども達。これから魚を食べるとき、今日の体験を思い出してくれることでしょう。